アムステルダムの悲劇
ヨーロッパ旅行の記録の続きなのです。アムステルダムからゲントへの道なのです。
精神の離脱から時が過ぎること、7時間半。朝、5時半。復活。起床。
私「起きたぞ!」<叫んだわけではないが、トイレに行ったら起床を宣言するのと同じ結果になった(笑)
旦那「……早すぎだよぉぅ」
私「あ、いや、別に起こすつもりでは」
旦那「起きちゃったよ(涙)」
私「ご、ごめんよ」
旦那「まぁ、同じくらいの時間に寝ちゃったんだけど」
私「じゃぁ、別にいいじゃん!」
アムステルダムでは、ゴッホ美術館と国立美術館に行く予定です。その後、タリスを使って旦那が部屋を借りているベルギーのゲントに向かいます。市立近代美術館は改装中のため、展示場所が変わっており、展示自体も縮小されて絵画類がないとのことだったので、今回は保留することにしました。
ホテルは朝食なしだったので、駅近くのマクドナルドにすることにして、とりあえず、スーツケースが邪魔なので、中央駅に行ってロッカーに預けます。<結構広いロッカースペースがあります
旦那「あ、案内画面で英語を選択してなかったから、意味不明(笑)」<オランダ語になってた
私「なんか、PINコード入れろ言ってるみたいだで?」
旦那「んだな」
昔はコインでも使えたようなのですが、現在はクレジットカード(VISA/MASTER)とデビットカード(ユーロ圏のね)しか使えないみたいでした。以前はセキュリティチェックをしていたのか、入口にゲートがありますが、特に何もなかったです(時期によるのかもしれませんが)
朝早くだったためか、駅全体の治安も言われているほど悪くなく、構内にも警官らしい人影はありませんでした。(これが混んでいる時間だと、各ホームに上がる階段ごとくらいに警官の姿があったりするみたいですね。でも、駅周辺には偽物もいるそうです;)
まずは腹ごしらえ。マクドナルドに入って、値段が高くて驚きます。そうか、日本のマックって安いんだね。
次にジュースのでかさに驚きます。しかも氷なしだから、すごいぞ。とりあえず、ケチャップとマヨネーズは今回はなしにしておきました。<ポテトにつけて食べるらしい。
感想:挟んであるピクルスがでかい!(たぶん、でかいキュウリで作ったからだろう)
朝早かったこと、まだまだぜんぜん混んでなかったこともあって、のんびり作って頂いて(笑)ポテトもバーガーもできたてを美味しくいただきました。
作り方がゆっくりなためか、日本のように時間を短縮する必要がないためか、あるいは単純に焼く機械の問題なのか、中に挟まっているパテが日本のより柔らかくて美味しかったです。
店内なのに、足元にはポテトやパン屑のおこぼれを探しに鳩が入ってきます。きちんと人が居る席のそばにしか居ないところに、鳩ながら賢さを感じました(笑) 時々、店員さんがちょうど鳩が比較的テーブルから離れたタイミングで鳩を追い出しに来て、店の入り口のところで「ふう一仕事したぜ」と腰に手を当てます。そして、また2分くらいすると鳩は足元に居ます(笑)
……のどかだ。
のんびりした後、トラムに乗って出発。これも、旦那が回数券を買っていた(なぜなら、彼は私のお迎えの前にしばらく観光をしていたのです)ので、2人分の乗車時間を押してもらって(1つの回数券でも2人分押してもらえばいいっていうのは、便利だよね)、のんびりと景色を見ながら美術館広場へ。
ゴッホ美術館と国立美術館はこの広場に隣接した形ですし、お昼は広場に出ている屋台でサンドイッチかなにかを食べるつもりなので、あとは本当にのんびりです。(オランダで食事に期待してはいけないと言われたのでね/笑)
両美術館ともに、比較的混んでいました。が、日本の週末の有名美術館ほどではないかな、という感じ。比較的じっくり見ることが可能でした。もちろん、有名な絵には人が群がっていましたけど;
ゴッホ美術館は秀逸でした。特に、年代ごとにそれなりの数の作品がまとめてあるので、魂の動きといいますか、精神の悲鳴と回復、幸福と不安、みたいな揺れ動きがどうしても見えてしまう所がありまして、美術館の大きさ自体はそこまで大きくないのですが、2度ほど休憩を取らないとダメなくらい。
美術の先生らしき人が学生をひきつれて解説しながらいらっしゃったんですが、興が乗ってくると動作が大きくなり、振り上げた手が何度か顔にニアミスしそうで(よけたけど/笑)、それでも全く気がつかない先生に、逆に生徒の方が「ごめんね先生こんなで」みたいなアイコンタクトの国際交流をしつつ、頑張りつつゆったり見てまわってお昼過ぎ。
屋台で食べたサンドイッチは、バターを塗ったパンにチーズとトマトが挟んであるだけの、めっちゃシンプルなサンドイッチでしたが、このチーズがバリうまでございました。
その後、国立美術館もまわり、あとはもうゆっくり出来るのですが、なにしろ、タリスの時間が遅く、ちょっと時間をつぶす必要がありました。喫茶店にでも、と思ってコンセルトヘボウの喫茶店に入ろうかとしたら、コンセルトヘボウのロビーらしき片隅に長椅子が。ちょうど催し物の一覧なども見たかったので、受付近くから案内をもらってその椅子に座って旦那と二人で眺めていたら、頭の上の方から声楽の声と伴奏らしき音が。しかも、かなり大きく。
旦那「……練習?」
私「みたいだよね。同じところ繰り返しているし」
旦那「ラッキー」
そう、実は旦那、機会があればコンセルトヘボウで音楽を聴きたいと思っていたようなんです。ただ、なかなかそういったチケット等が取れず、今回は外側を眺めるだけかぁと残念に思っていたようなのですが、なんとなく歌が聞けてうれしそう(笑)
しばらく休んで、早めに駅に行きたいと私が主張した(駅の自販機のクロケットを食べたかったのだ/笑)ため、駅に行き、まずはクロケットを購入。うまうまと食べたのち、タリスの乗り場を時刻表で確認。荷物を取り出したのち、旦那がトイレに行きたいと主張したため、その時一番近かった1番ホーム(たぶん)に上がってみた。(トイレに一番近そうだったから)
私「先生、あそこにタリスのマークがあって、ラウンジと書いてあります」
旦那「え、うそ」
私「なんだか、扉の所に条件が書いてあります」
旦那「あ、条件の中に1等の国際チケットって書いてある。入れるかも」
結果、入れました。タリス用のラウンジがあるなんて知らなくて、本当にたまたま見つけたのですが、ラッキーでした。最近できた感じでしたけど、まだあまり知名度がないのか、中はかなり空いていて、インテリアはなぜかアジア風(笑) コーヒー、ソフトドリンク、ビール等が飲めます。もちろん、トイレも綺麗でした(笑)
思わずのんびりできて、ルンルンでタリスに乗車。旦那がチケットを買いに行くのが遅かったので、通常の二人席ではなく、6人用の小部屋です。もちろん、混んでいるからここにしか2人隣の席が取れなかったわけなので、当然、他の席は埋まりました。
で、夕食はタリスで出ます。時間が夕食が出る時間になったので、ためしにと思って1等を取ったのです。食事を運んできたのは、ものすごく陽気なおにーちゃんでした。
「ヘイ、マダム。お飲み物は何にいたしましょっ」<こんな感じ
わーい、タリスの車内食だー。ぱく。
……そうだったね、このタリスはアムステルダム始発のタリスだったね。そうだったね。オランダで食事に期待をしちゃいけないって、誰かが言っていたね。orz
正直、美味しくなかったです。ええ。まるで切っただけのスパム、表面の水分が飛んだきゅうり、水分のないもやし。硬いだけのパン。申し訳程度の果物。
まぁ、ちいさなチーズはうまかったな。なので、パンにチーズ付けて食べた。うん。悲しいくらいに美味しくなかったね。これ以降、この夕食をアムステルダムの悲劇と呼んだくらいに、美味しくなかったね(笑)
ご飯がおいしくないと、なんだかとっても悲しいんだよね。
アムステルダムの悲劇を悲しみつつ、疲れ始めた体をいやすために、ちまちまと自分でハンドマッサージを行います。クリームはトランクの中だったので、本当にできる範囲での指圧に近かったのですが、なぜか向かいに座っている黒髪のおねーさんに凝視されます。
肩も凝ってきたので、両手で首筋を温めるようにしながら、じんわりと首の後ろを指圧し、そのまま、後頭部から頸椎の終わりあたりまでをほぐします。向かいのおねーさんも同じようにやってみているようです。私の動きを凝視しながら。
え? あれ? 真似してるのかな、もしかして?
そういえば、肩こりという概念はヨーロッパの方にはないというような話を聞いたことがあります。背中や首の痛みという認識になってしまうようで。でも、概念がないというだけで、肩は凝る(血流は悪くなる)んですよね。まぁ、体格の問題(首が太く、肩幅が広くがっちりしている)からか、肩こり人口は少なめのようですが。
私が肩の筋肉の起始部をもみもみすると、おねーさんも同じようにやてみる。そんな言葉もない不思議な国際交流(笑)もしばらくすると終了。ブリュッセルで乗り換えです。
ブリュッセルからゲントへの列車も(タリスが1等だから)1等なのですが、こちらは本当にガラガラ。
ゲントの駅からは旦那の借りている部屋までは歩きでも行けるのですが、スーツケースがありますしもう夜も遅いので、トラムを使うことにします。私の分も回数券が必要なので券売機に一目散に行くも、着いて待っていたトラムは出て行ってしまいました。すると、この時間は20-30分に1本くらいの頻度になるので、かなり暇です。
その時、けたたましい音がしたので、そちらをみると、酔った東欧系の青年がジュースの缶をホームの向こう側の壁に投げた所でした。その方向に煙草をふかしている女性が居たので、一瞬女性に向けたのかと思いましたが、そうではなく、その近くにあるゴミ箱に入れようとしただけようでした。
なんだか日本でもあまり出会わないような場面に遭遇してしまったなぁと思いつつ待っていると、違う路線のトラムがやってきました。東欧の青年はトラムの運転手の方に歩いてきて、何か一生懸命聞いているのですが、酔っているのとあまり英語が得意ではないので、なかなか要領を得ません。連れらしいベルギーの青年が、このトラムじゃないからと青年をひっぱりますが、なかなか納得しない様子。その会話は私たちのほぼ目の前で繰り広げられていたので、会話の中のhospitalとuniversityという単語に気がついた旦那が、大学病院へのトラムの番号をベルギーの青年に教えると、突然降ってわいた(ように見えたんだろうたぶん)東洋人に興味を惹かれてトラムから離れ、やれやれといった感じでトラムが出発。
そこで、なんとなく会話をする流れになり、東欧の青年が酔って怪我をし、近所の病院では診察してもらえないため(たぶん、支払の問題でだと思いますが)、大学病院に連れて行ってあげている途中なのだということが分かりました。大学病院は費用が安く、どんな人でも治療を行いますし、東欧の彼はあまり英語が得意ではないから付いていってあげるのだと。
自分の怪我の話であるのがわかったのか、東欧の青年が、ほら、と怪我を見せてくれたのですが、確かに膝の上がぱっくりと結構な深さで切れていました。自分は母親を亡くしてイスラエルから一人で来ているのだとそうぽつりと言って、彼は黙りこみました。
ベルギーの青年が、旦那に仕事で来たの? と尋ねてきたので、そうだよと応えると、彼の口から出てきたのはnot good という言葉でした。
この町、どう思う? と尋ねられたので、「いいと思うよ、親切だし」と旦那が応え(実際、多くの人に親切にしてもらっておりますし)ると、急に彼は語気を強めて、「確かに親切だけど、でもオープンじゃないと思う。シンガポールに行ったことがあるんだけど、アジアはもっとオープンに感じたよ」と言い、この話題が終わりました。
その後、目的のトラムが来て、私たちの方が先に降りるので、降りる際にちょっとだけ挨拶をし、彼らのトラムを見送ったのですが、この「親切だがオープンじゃない」という単語はなぜだかものすごく私たちの中に残りました。
旦那「なんで君が居るといつも、こういう普通じゃあまりないことによく遭遇するんだろう」
私「そうなの?」
旦那「いや、だって、あんな風に話すことになると思わなかったし、イスラエルの彼が突然自分の身の上話するとは思わなかったし」
私「あー、まぁ、そういえば、そうねぇ」
旦那「イスラエルかぁ、重い話だなぁ」
私「……(ぐう)」<腹の音
旦那「冷凍ご飯でいい? あとはカップ麺しかないよ」
私「冷凍ご飯と梅干しがあれば十分」
あぁ、アムステルダムの悲劇;
そんなわけで、ようやく私は美味しいごはん(冷凍ご飯と梅干しだけでも、十分に美味しいごはんだ!)にありついたのでした。